未婚・子なしの女性を自虐を交えて定義した『負け犬の遠吠え』の刊行から二十余年。当時巻き起こった大論争は、今やジェンダー論の古典的トピックとして語り継がれている。しかし、彼女自身は過去の栄光に留まることなく、時代ごとの空気の変化を敏感に捉え、自身の文体を更新し続けてきた。
現在進行形で彼女が取り組むテーマは、「超高齢化社会における個人の身の処し方」や「制度としての家族のゆらぎ」である。2026年に向けて語られる最新作の構想では、デジタル空間に溢れる過剰な自己顕示や、孤独を恐れるあまり過密につながろうとする現代人の心理に鋭いメスが入る。単なる流行批判にとどまらず、人間の業そのものを愛憎半ばで見守る視座こそが、彼女の真骨頂と言える。