フグを口にする際、誰しもが一度は抱く懸念が「毒の有無」である。厚生労働省が定める通知「フグの衛生確保について」に基づき、国内で食用が許可されているフグの部位は厳格に分類されている。結論から述べると、日本で一般に流通しているトラフグやマフグなどの指定魚種の精巣(白子)は無毒である。
テトロドトキシンという猛毒を蓄えるのは主に肝臓(キモ)や卵巣、消化管であり、精巣である白子には基本的に毒性が存在しない。ただし、素人による自己判断の解体調理は極めて危険であり、絶対に避けるべき行為である。家庭で白子を味わう際は、必ず都道府県知事の免許を受けた「ふぐ処理師」が適切に除毒・処理し、正規の流通ルートに乗ったパック商品や専門店の通販を利用することが大前提となる。
また、フグ白子のポテンシャルが最高潮に達する旬の時期は1月中旬から3月下旬にかけてである。春先の産卵期に向けてオスが体内に栄養を蓄え、精巣が丸々と太るこの時期、白子は絹のような滑らかな舌触りとフォアグラをも凌ぐ圧倒的なコクをまとう。4月以降の産卵を終えた個体は急速に水分が抜けてしぼんでしまうため、冬の厳寒期こそが一期一会の贅沢を堪能すべき絶好のタイミングである。