富野由悠季監督が『進撃の巨人』に言及したのは、雑誌のインタビュー連載やカルチャー対談でのことでした。「読みたくもないし、評価もしたくない。でも、読まざるを得ないし、評価せざるを得ない」という極めてアンビバレントな感情を吐露したことで、瞬く間にアニメファンの間で拡散されました。
富野監督は作品の持つ圧倒的なエネルギーを瞬時に見抜いていました。単なる娯楽アクションにとどまらず、読者の感情を根底から揺さぶるドライブ感に対して「これを作られたらたまらない」と率直に敗北感をにじませています。毒舌の中に潜むクリエイターとしての純粋な嫉妬こそが、この発言の核心です。
表面的な言葉だけを切り取ると辛口批評に見えますが、文脈を丁寧に読み解けば、稀代のヒットメーカーが若き才能の登場に戦慄した瞬間を正直に記録したテキストであることが分かります。