JR西日本はかねてより、輸送密度2,000人未満の線区について「持続可能な地域交通への再構築」を掲げ、沿線自治体との協議を求めてきました。2026年に施行された改正地域公共交通活性化再生法に基づき、国主導の再構築協議会が芸備線などで設置されたことを受け、福塩線の沿線自治体(広島県、福山市、府中市、世羅町、三次市)の間にも強い危機感が走っています。
協議の場において、自治体側は「高校生の通学手段の確保」「観光振興」「災害時の代替路」などを根拠に鉄道の維持を強く主張してきました。沿線自治体による利用促進キャンペーン、駅舎を活用したイベント、マイレール意識を高めるためのワークショップなどが幾度となく展開されています。
しかし、JR西日本が突きつける現実は極めてドライです。JR西日本の経営陣は公式会見などの場において、「大量輸送機関としての特性が発揮できていない線区について、将来にわたり鉄道の形態で維持し続けることが本当に地域にとって最適なのか」という問いを繰り返し投げかけています。年間数億円にのぼる赤字をJRの他路線の利益で埋め合わせる構造は、人口減少が進む現在において持続不可能になりつつあるためです。
自治体側も本音では「莫大な上下分離負担金(線路設備を自治体が保有・維持する費用)を支払ってまで鉄道を残す体力はない」という財政的制約を抱えており、話し合いは「鉄道の維持」から「地域住民の移動権をどう代替交通(路線バスやデマンド交通・BRT)で保障するか」という現実的な着地点へ向け、水面下で舵が切られつつあります。