噴火が及ぼす最大の影響は、静岡や山梨の山麓地域にとどまらない。西風に乗って東へ流れる巨大な灰の雲は、わずか数時間で東京都心や神奈川、千葉、埼玉を覆い尽くす。
首都圏降灰シミュレーションによれば、都心でわずか0.5センチの降灰が生じるだけで、鉄道の運行は全面的に停止する。火山灰は土砂とは異なり、マグマが急冷してできた細かいガラス片や鉱物の結晶だ。これが車輪と線路の間に挟まることで視界不良や信号器の誤作動を引き起こす。
さらに数センチ積もれば、雨を含んだ火山灰が送電線に付着してショートを起こし、広域の大規模停電を招く。内閣府(防災担当)の分析では、交通麻痺と停電、さらには下水道の閉塞や水質汚濁により、首都圏の社会経済活動が完全にストップするおそれが指摘されている。