17年ぶりに大幅刷新され、現在運用されているハザードマップの根幹にあるのは、富士山火山防災対策協議会公式発表に伴う科学的知見の大転換です。かつての想定は、おもに直近の中期噴火データに依存していました。しかし、最新の地層ボーリング調査や火山灰層の精密分析により、未知とされてきた山麓の側火口跡が次々と特定。富士山ハザードマップ改定の真相とは、自然の脅威が想定を遥かに超えていた事実を認める作業そのものでした。
とりわけ激震をもたらしたのが、想定される最大溶岩流噴出量の見直しです。旧マップ策定時の約7億立方メートルから約13億立方メートルへとほぼ倍増。これに伴い火口の想定エリアは山頂周辺だけでなく標高の低い樹海地域や市街地近郊まで広がり、危険区域の線引きは大きく外側へ塗り替えられました。
自然災害対策において「想定外」の免罪符は通用しません。協議会が公表した改訂指針は、最悪のシナリオを冷徹に受け止めたうえで社会基盤を再構築するための防衛マイルストーンといえます。