安全であるべき公営プールで、なぜ開口部が剥き出しになっていたのか。警察の現場検証および事故調査委員会の調査により、信じがたい管理のずさんさと構造的欠陥が次々と明らかになりました。
直接の引き金となったのは、吸水口の防護柵がボルトで固定されておらず、針金で簡易的に留められていたことです。本来、強い水流と水圧がかかる吸水口の蓋は、ボルトとナットを用いて四隅を強固に固定しなければなりませんでした。しかし、ネジ穴の摩耗やボルトの脱落を放置し、現場の管理スタッフは針金や結束バンドのような極めて脆弱な部材で固定するのみにとどめていました。
さらに、事故当日の朝に行われた点検作業でも蓋の浮きや緩みが見逃され、開園前の潜水確認も形式的なものに過ぎませんでした。利用客の接触や流水の水圧によって針金が破断し、蓋が外れて流された後も、監視員は異変に気付かず遊泳を続けさせていた実態が判明しています。
加えて、吸水口の内部構造そのものにも問題がありました。万が一蓋が外れた場合に吸い込みを防ぐ二次防護ネット(吸込防止金具)が配備されておらず、吸水口と循環ポンプを直結するパイプに直接引き込まれる構造になっていた点も被害を致命的なものにした大きな要因です。