被害想定の激変を受け、静岡・山梨・神奈川の3県で構成される富士山火山防災対策協議会は、地域防災の骨格となる「富士山火山避難基本計画」を抜本的に見直した。ここで打ち出された最大の方針転換が、原則としての「徒歩避難」の導入である。
車社会である山麓部において、一斉に住民が自家用車で逃げ出せば何が起きるか。答えは明白だ。壊滅的な交通渋滞が発生し、身動きが取れない車列を溶岩流が飲み込むという最悪の事態である。
新基準では、火口の出現場所や溶岩の流下方向に応じて避難対象エリアを細かく区分。緊急避難対象となるエリアの住民は、まず指定された高台や安全圏へ向けて自らの足で移動することが強く求められている。車を使用して避難できるのは、高齢者や要配慮者、あるいは溶岩到達まで時間的猶予が十分に残されている遠方エリアの住民に限定される。