アタリの立体枠格が定まったら、次に各器官をパースの法則に従って配置します。ここで重要となるのが、俯瞰顔の黄金比と比率の理解です。正面顔における一般的な比率(髪の生え際〜眉:眉〜鼻先:鼻先〜顎先=1:1:1)は、俯瞰の角度が深くなるにつれて劇的に変化します。
以下のデータ比較表は、商業作画の現場基準および美術解剖学の比率データを統合し、角度ごとに頭部各パーツの露出率と位置関係を数値化したものです。
パーツ配置における最大の難所が、俯瞰の目の描き方とパースのコントロールです。俯瞰時の目は、眼窩(頭蓋骨の目の窪み)という彫刻的な窪みの中に球体(眼球)が入っている構造を意識しなければなりません。上から覗き込むため、眉骨の出っ張りが上まぶたに覆いかぶさり、目の縦幅は正面よりも極端に狭くなります。
さらに、上まぶたのアイラインは下向きの孤を描きます。まつ毛は下を向き、瞳(虹彩)は上まぶたの下に隠れがちになり、下まぶたの「粘膜の厚み」が視覚的に露出してきます。ここを正面と同じパッチリとした楕円で描いてしまうと、視線がどこを向いているのか定まらない破綻を招きます。
そして見落としてはならないのが、俯瞰時の鼻と口の配置バランスです。鼻は顔面から前方に突出した三角錐であるため、パースの影響を最もダイナミックに受けます。鼻先は目のラインよりも大幅に下がり、鼻の穴(鼻腔)は完全に見えなくなります。同時に、鼻の付け根(鼻根)は両目の間に深く食い込みます。口は鼻先に引っ張られるように接近し、下唇の丸みは上唇の影に隠れ、緩やかな下向きのV字を描いて奥へ引っ込みます。
配置の決定打となるのが「耳の位置」です。正面顔では目から鼻の間に位置する耳が、中度俯瞰では目のラインよりもはるか上、場合によっては眉の高さよりも上に配置されます。顔を描く際、耳の位置を高く引き上げるだけで、顔全体の立体情報が一瞬にして「下を向いている」と鑑賞者の脳に伝達されます。