ポータルサイトの検索条件で根強い人気を誇る「敷金ゼロ・礼金ゼロ」、通称ゼロゼロ物件。数十万円単位のまとまった初期費用を浮かせられる魅力的な選択肢に見えるが、タダより高いものはないという格言を忘れてはならない。
不動産業界がゼロゼロ物件を仕掛ける背景には、長期間埋まらない不人気物件を何とか入居させたいという切実な事情がある。敷金や礼金を取らない代わりに、別の名目で費用を回収する巧妙な仕組みが張り巡らされているケースが目立つ。
代表的なのが「短期解約違約金」の存在だ。1年未満の解約で家賃2ヶ月分、2年未満で1ヶ月分といった厳しいペナルティ条項が契約書に忍ばされている。また、入居時に敷金を預かっていない分、退去時に相場を大幅に超える一律クリーニング費用や原状回復費用を請求される事例が後を絶たない。
加えて、連帯保証人の代わりに必須とされる家賃保証会社の手数料や、抗菌施工代、24時間サポート費用といったオプション費用が強制的に上乗せされ、トータルの初期費用が通常の物件と大差なくなってしまうこともある。ゼロという甘い響きに惑わされず、契約書全体のトータルコストを精査する視点が不可欠だ。