なぜ福島の高校野球掲示板は、これほどまでに熱を帯び、時に感情的な衝突にまで発展するのでしょうか。地元スタジアム(あづま球場や開成山球場)に足を運ぶ観客や、実際にネットスレッドに書き込みを行うユーザーの証言から、その深層心理を紐解きます。
郡山市内在住の50代ファンは、白熱する議論の背景について次のように語ります。
「宮城の仙台育英が深紅の大優勝旗を東北に持ち帰り、花巻東や金足農が全国を揺るがす中で、福島県民の中には『なぜ福島だけが決勝の壁を破れないのか』という強い焦燥感がある。掲示板で聖光学院を厳しく叩く層も、根底にあるのは『全国の頂点に立ってほしい』という過度な期待の裏返しなんです」
現場取材で見える高校球児たちの姿は、掲示板に書き込まれる冷徹な論評とは対極にあります。ある強豪校の部長は「生徒たちには大会期間中のエゴサーチを厳しく禁止しています。名前を出して戦犯扱いする心ない書き込みが、10代の少年の心にどれほど深い傷を残すか想像してほしい」と吐露します。ネット上では「采配ミス」「控え選手の起用理由」といった内部事情がまことしやかに語られますが、その9割以上は練習試合やベンチ裏の事実を知らない外部者による勝手な創作です。