事故現場そのものでも、命の危機は常に隣り合わせだった。津波襲来時、4号機タービン建屋の地下で作業中だった東電社員2人が溺死した。彼らは原発敷地内で発生した最初の直接的な犠牲者だ。その後も、過酷な高線量下での瓦礫撤去、汚染水タンクの建設、そして今なお難航する燃料デブリの取り出し作業において、数万人規模の作業員が現場に投入されてきた。
厚生労働省はこれまでに、福島第一原発で作業に従事し白血病や肺がん、甲状腺がんを発症した元作業員複数名に対して労災を認めている。その中には、すでに病によって息を引き取った作業員も含まれている。労災認定は法的な救済基準であり、医学的な因果関係の完全な証明と同義ではないと東京電力側は主張するが、過酷な労働環境が命を縮めたという厳然たる事実に変わりはない。さらに、放射線被曝だけでなく、防護服着用による重度の熱中症や足場からの転落など、過酷な現場環境そのものが招いた労働災害による死亡例も後を絶たない。