「幼い頃、親の車のダッシュボードやリビングのカレンダーで見た記憶がありました。でも今、改めて実物を直視すると、CGと見紛うほどのグラデーションと光の捉え方に息を呑みます」
都内のIT企業に勤める24歳の女性は、展示会場の大型キャンバスを見上げながらそう語った。彼女のように、ラッセンのブームをリアルタイムで体験していない世代にとって、その作品は単なるレトロなノスタルジーを超えた新鮮な視覚体験として映っている。
背景にあるのは、2026年代半ばから続く「Y2K」および「90年代カルチャー」の世界的再評価だ。過度に洗練された現代のミニマリズムやモノトーンのアートに対し、ラッセン作品が放つ過剰なまでのエネルギー、ネオンカラーのような発色、そしてロマンチックな世界観が、デジタルネイティブの感性に強烈なフックとして刺さっているのだ。