FFの限界を押し広げた最大の舞台は、間違いなくドイツの聖地「ノルドシュライフェ」だ。世界一過酷なコースで王座を争い続けたのが、本田技研工業とフランスの名門ルノー・スポールである。
ホンダ・シビック TYPE Rとルノー・メガーヌ R.S.が繰り広げたニュルブルクリンク北コース最速ラップ記録の奪い合いは、まさに前輪駆動開発の限界突破レースだった。ルノーがリアシートを撤去しカーボンホイールを奢った超軽量限定車を投入すれば、ホンダは空力と冷却性能、そして電子制御サスペンションのセットアップを極限まで磨き上げてタイムを削り落とす。7分44秒台という、かつてのレーシングカーすら凌駕するタイムが市販FF車から叩き出された瞬間、世界の自動車メディアは沈黙し、そして賞賛した。