ネット上でよく見られるイラスト講座の中には、初心者をかえって混乱させてしまう誤った指導法も散見される。最も顕著な盲点が「リアルな動物の骨格を正しく理解してから描くべき」というアカデミックな指導論だ。
一般の保護者や保育者が求めているのは、美術解剖学に基づいた精密なデッサンではなく、「子どもが一目でゾウだと認識し、愛着を持てる記号化(デフォルメ)」である。象の膝の関節位置や肋骨の起伏を忠実に再現しようとすると、線が多くなりすぎて画面が重くなり、かえって可愛らしさが失われてしまう。
もう一つのよくある失敗パターンは、「鼻の穴や牙(キバ)をリアルに描き込んでしまう」ことだ。特に牙は、描き方を誤ると攻撃的で怖い印象を与えてしまい、小さな子どもが怖がる原因になりやすい。保育や日常のイラストにおいては、牙をあえて省略するか、先端を丸く短く描くのが、親しみやすさを生み出すプロの鉄則である。