篠田三郎の原点は、1966年に大映の第15期ニューフェイスとして入社した映画全盛期にある。若手時代からその端正な顔立ちと真面目な仕事ぶりは際立っており、映画界の斜陽期を経て舞台やテレビへと活動の場を広げていった。日本のテレビドラマ界において、彼のポジションを決定づけたのがNHKの大河ドラマである。
特に1979年のNHK大河ドラマ『草燃える』で演じた源範頼役は、誠実でありながら時代の波に翻弄される悲劇の武将を繊細に演じ切り、高い評価を獲得した。時代劇において求められる所作や立ち振る舞い、武士としての哀愁を見事に体現できたのは、私生活における規律正しさと精神的な落ち着きが無縁ではない。華やかなスポットライトに惑わされず、一作ごとに愚直に向き合う姿勢は、家庭での安定した生活があってこそ磨かれた職人技だった。