なぜ、一人のトップクリエイターが一線を越えてしまったのか。彼が近年傾倒していたジャンルこそが、従来の刑事ドラマの枠を超えた実録犯罪やドキュメンタリータッチの犯罪ドキュメンタリーだった。本格的なサスペンスを追求するあまり、事件の当事者や裏社会の人物へと深く取材を広げていく過程で、自らが闇に取り込まれていったとの指摘がある。
関係者の一人は「リアリティを追い求める姿勢は鬼気迫るものがあった。しかし、いつしか取材対象であるアウトローたちと密接な関係を築き、現実とフィクションの境界線を見失っていたのではないか」と吐露する。演出としての「狂気」が、いつしか本物の違法行為へと変貌を遂げていたとすれば、これほど皮肉で凄惨な結末はない。