日本における食品安全の枠組みとして、消費者庁が管轄する「食物アレルギー表示義務制度」が存在する。この制度において、エビとカニは発症頻度や重症度の高さから「特定原材料」に指定されており、容器包装された製品への表示が法的に義務付けられている。
しかし、制度の壁も存在する。スーパーの店内調理品やデパ地下の量り売り惣菜、レストランやファストフードなどの外食産業においては、法律上の表示義務が及ばないのが現状だ。
食品製造・外食産業の現場では、コンタミネーション(意図しない微量混入)のリスクも無視できない。同じフライヤーでエビフライとトンカツを揚げたり、同一の調理器具やまな板を洗浄せずに使い回したりすることで、アレルゲンが移ってしまうのだ。重篤な症状を持つ患者にとっては、こうした調理現場での目に見えない交差汚染こそが最も警戒すべき脅威となる。