企画の立案者であり、主人公ティーダ役を熱演した尾上菊之助。彼の情熱と古典芸能への深い敬意がなければ、この無謀とも思えるプロジェクトは形にならなかっただろう。そして、宿敵アーロン役などを演じ、圧倒的な存在感で舞台を引き締めた中村獅童。二人の花形俳優が火花を散らす立ち回りは、古くからの歌舞伎ファンのみならず、劇場に初めて足を運んだゲームファンをも一瞬で魅了した。
新作歌舞伎『ファイナルファンタジーX』として上演された本作は、昼夜通し公演で全編約9時間に及ぶ壮大なスケール感で紡がれた。長い劇評の歴史においても、これほどまでに演劇業界の常識を心地よく破った挑戦は稀有である。