蜂被害を根本から回避するためには、彼らの一年を通じたライフサイクルを俯瞰することが不可欠です。害虫駆除の専門業者や自治体の衛生担当部署の記録を総合すると、日本の主要な蜂は4月から11月頃までの約8カ月間にわたって活動を継続しています。ただし、その危険度は月ごとに全く異なり、蜂の生態と年間スケジュールは明確なフェーズに分かれています。
まず春先となる4月〜5月は、女王蜂の冬越しと活動開始時期にあたります。前年の冬を倒木の中や土中で生き延びた女王蜂が単独で目覚め、巣作りの場所を探して飛び回ります。この段階では働き蜂は一匹もおらず、女王蜂がたった一匹で巣材を集め、産卵と幼虫の世話を行っています。攻撃性は非常に低く、外敵に出会っても自らの命を守るために逃走を優先する時期です。
6月〜7月に入ると最初の働き蜂たちが羽化し、巣の規模は一気に拡大期へとシフトします。女王蜂は産卵に専念し、採餌や巣の防衛は働き蜂が担うようになります。そして、最も警戒すべき「蜂の活動時期ピーク」が8月〜10月に到来します。巣の中には数百から数千匹もの成虫がひしめき、わずかな物音や振動に対しても集団で過剰防衛を仕掛けてくる危険な時期へと突入します。
晩秋の11月になると、新しい女王蜂と雄蜂が交尾を終え、気温の低下とともに働き蜂や旧女王蜂は寿命を迎えて死絶します。そして生き残った新女王蜂だけが再び越冬場所へと潜り込み、翌春を待つサイクルとなっています。
なお、春先の3月下旬〜5月頃には「ミツバチの分蜂時期と特徴」として知られる現象が見られます。これは巣に新しい女王が誕生した際、元の女王蜂が半数の働き蜂を引き連れて大群で引っ越しをする自然現象です。黒い塊となって庭木や街路樹に群がるため恐怖感を抱かれがちですが、巣を守っているわけではないため極めて温厚であり、刺激しない限り数日で自然に飛び去っていきます。