二人の密会場所として頻繁に使われたとされるのが、北京市内にある高級迎賓館や、関係者以外立ち入り禁止の特別施設だった。盗聴器が仕掛けられていることが常識とされるそれらの空間で、どのような会話が交わされたのか。その詳細は今も闇の中だ。
当時、日本政府内では対中ODA(政府開発援助)の増額や、歴史認識を巡る外交カードの切り方が議論されていた。橋本氏が彼女に対して、政策の決定プロセスや政界の内情をどの程度漏らしていたのかが最大の焦点となった。インテリジェンスの世界において、意図しない情報の漏洩こそが最も恐ろしいとされる。
防衛省の元幹部は、「枕元で語られる言葉には、公的な外交ルートでは決して得られない生々しい本音が混ざる。それこそが、工作員が最も欲しがる『インテリジェンスの原石』だ」と指摘する。