過去に接種された種痘の効果は年月の経過とともに減衰しており、免疫を持たない現代社会において、ウイルスが再出現した場合の感染拡大速度は歴史上の比ではない。この危機感を受け、世界のワクチン製薬産業は次世代型の医療用カウンターメジャー(対抗手段)開発を急ピッチで進めている。
従来の生ワクチンが抱えていた副反応リスクを低減させた非増殖型痘そうワクチン(MVA-BN)や、ウイルスの細胞外放出を阻害する抗ウイルス薬(テコビリマットなど)の国家備蓄が進む。民間製薬企業と防衛機関の官民連携によるサプライチェーン強化は、いまや公衆衛生の枠組みを超えた安全保障の中核課題となっている。