気象の世界で使われる「風速」という数値は、地上約10メートルの高さで観測された10分間の平均値を指す。日本の気象庁をはじめ、世界の観測機関が共通して用いる基準だ。秒速4メートル(4m/s)という数字を時速に換算すると約14.4キロメートル。これは一般的な大人が軽くジョギングするスピードとほぼ等しい。
19世紀初頭にイギリス海軍の提督フランシス・ビューフォートが考案した「ビューフォート風力階級」に照らし合わせると、風速4mは「風力3(軟風)」に分類される。木の葉や細い小枝が絶え間なく揺れ、軽い旗が風になびいて広がる状態だ。顔に風を感じ、紙くずが地面を滑るように転がる。数字だけを見れば穏やかに映るが、空気の塊が時速14キロ超で絶え間なく押し寄せてくる力は、人間の皮膚感覚以上に確かな質量を持っている。