2026年に入り、民間調査団体や各地の有志による最新の音波探査およびレーザー計測調査が実施された。そこで浮き彫りになったのは、これまで行政の台帳にすら記載されていなかった無数の未公開地下壕が、市街地や山林の地下で極めて危険な空洞化を起こしているという衝撃の事実である。
長野や神奈川、千葉をはじめとする旧軍事拠点周辺では、戦時中に突貫工事で掘削されたトンネル群が網の目のように残る。だが、掘削から80年余りが経過した現在、地下水の浸食と地盤沈下により、内部はいつ大規模崩落を起こしてもおかしくない限界状態だ。調査員が防護服に身を包んで潜入した地下壕内部では、壁面に残るツルハシの打痕が生々しい一方、天井からは数十キロ単位の岩塊が剥落していた。
語り継ぐべき歴史的価値は計り知れない。本土決戦を想定して張り巡らされた巨大な地下空間は、当時の国家がいかに追い詰められ、無謀な作戦に国民を動員したかを示す唯一無二の物証だ。しかし、安全対策と耐震補強には億単位の費用がかかる。封鎖してコンクリートで埋め戻すか、多額の公金を投じて遺構として保存するか。地域社会は極めて重い二者択一を迫られている。