中央に黒い開口部(へそ)が見える粉瘤は、指で押し出すと白いペースト状の物質が出てくることがあります。しかし、粉瘤を自分で潰して膿や内容物を搾り出す行為は極めて危険です。
皮膚の上から強い圧力を加えると、老廃物が外に出るだけでなく、皮下にある袋自体が破裂してしまうケースが頻発します。袋が破れると、濃縮された角質や細菌が周囲の皮下組織へ一気に漏れ出し、生体防御反応による激しいアレルギー反応と細菌感染が勃発します。これが「炎症性粉瘤」と呼ばれる状態で、患部が赤く腫れ上がり、触れるだけで激痛が走るようになります。
万が一、自宅で粉瘤が破裂して中身や膿が出てしまった場合の応急処置手順は次の通りです。
- 1. 無理に搾り出さない:周囲を強く押して出し切ろうとせず、表面に出てきた排液のみを清潔なガーゼやティティッシュで拭き取る。
- 2. 流水で優しく洗浄する:泡立てた石鹸とぬるま湯で擦らずに洗い流し、患部を清潔に保つ。
- 3. 滅菌ガーゼで保護して速やかに受診:絆創膏やガーゼで保護し、自己判断で市販薬を塗りたくらず、その日のうちに皮膚科や形成外科へ駆け込む。
炎症を起こしてドロドロに溶けた粉瘤は、袋と周囲の正常組織が癒着するため、袋を綺麗に一括摘出することが難しくなります。結果として応急処置としての切開排膿(膿を出すだけの処置)にとどまり、炎症が完全に引いた数ヶ月後に改めて根治手術を受け直さなければならない二度手間とコストが生じます。