分割相続とは、亡くなった被相続人が遺した積極財産(預貯金、不動産、有価証券など)および消極財産(借入金、未払金など)を、個々の相続人に具体的に割り振る法的手続きを指します。被相続人が亡くなった瞬間、遺産は相続人全員の「準共有」状態に置かれます。この共有状態を解消し、誰がどの財産をどれだけ取得するのかを確定させる作業こそが分割相続の実体です。
手続きに着手するにあたり、最初に行うべき分岐点は遺言書の存在確認です。法的に有効な遺言書が存在する場合、原則としてその指定内容が最優先されます。法務局の自筆証書遺言書保管制度や日本公証人連合会の公証役場検索システムを活用し、公正証書遺言や保管された遺言書がないかを照会することが初動の基本動作となります。
遺言書が存在しない場合、法定相続人の間で話し合いを行う遺言書がない場合の分割手続きへと進みます。ここで不可欠となるのが、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を収集して行う「相続人確定調査」と、通帳や名寄帳、固定資産税納税通知書などを精査する「相続財産調査」です。民法では以下の通り法定相続分の割合が定められていますが、これはあくまで協議のベースとなる目安に過ぎず、相続人全員の合意さえ形成できれば、誰がどの割合で取得しても法的には問題ありません。
- 配偶者と子が相続人の場合:配偶者2分の1、子2分の1(複数の場合は均等按分)
- 配偶者と直系尊属(親など)の場合:配偶者3分の2、直系尊属3分の1
- 配偶者と兄弟姉妹の場合:配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1
ただし、協議を有効に成立させるためには、行方不明者や認知症の家族も含め、すべての法定相続人が参加しなければなりません。一人でも除外された協議は法律上無効となるため、自己判断で署名押印を進める行為は致命的な手戻りを引き起こします。