普段の生活で何気なく使っているスプレー缶が、なぜ空の旅においては厳重な警戒対象となるのか。その理由は高空における気圧変化にある。機内や貨物室は適正に加圧されているものの、地上と比べて気圧が低下することは避けられない。内圧が高まった缶が変形・破裂し、ガス漏れから引火事故を引き起こす危険性が潜んでいるのだ。
日本の航空法では、航空機の運航安全を脅かす可能性のある物品の持ち込みを厳しく制限している。特に圧縮ガスや可燃性ガスを使用するエアゾール製品は、火薬類や引火性液体と並ぶ「危険物」に分類される。国土交通省が主導する安全基準のもと、各航空会社は厳格なスクリーニングを義務付けられているのだ。世界共通の枠組みである国際航空運送協会(IATA)の標準指針においても、危険物の航空輸送ルールは極めて厳密に定められている。