「お客様からは『かわいい!』という歓声が上がりますが、飼育現場としては彼らのストレスサインを見逃さないよう緊張が走る瞬間でもあります」
そう語るのは、都心にありながら多様な生態を観察できる上野動物園のベテラン飼育スタッフだ。園内で見られる威嚇行動の多くは、見知らぬ音や急な物音、あるいは同種間での縄張り主張から生じるという。飼育員は動物たちが無駄なエネルギーを消費しないよう、展示環境の工夫や隠れ家の設置に知恵を絞っている。
「ただ、人間を警戒して精一杯に立ち上がる姿が、どうしても愛らしく見えてしまう気持ちもよく分かります。本気で威嚇しているからこそ、そのギャップが人々の心をとらえるのかもしれません」と、現場ならではの複雑な胸中を明かしてくれた。