40代を前にして、彼のキャリアは大きな転換期を迎える。落語の魅力に取り憑かれた男は、2008年に上方落語の重鎮である月亭八方に弟子入りを果たした。芸名を「月亭方正」に改め、それまでのテレビタレントとしてのポジションを捨ててでも落語道へ没頭する決断は、世間を驚かせた。
伝統芸能の世界は甘くない。山崎邦正という大知名度を持ちながらも、一から前座修業に励み、高座での稽古を重ねた。若い頃に培った舞台度胸と、バラエティで磨いた間合いの感覚は、落語の語り口にも見事に昇華された。かつての「アイドル芸人」は、いまや古典落語から創作落語までを自在に操る実力派落語家へと進化を遂げたのである。