放牧で育った牛から得られる牛肉や牛乳は、栄養成分のプロファイルそのものが異なる。国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)や日本草地学会が発表してきた一連の研究報告は、その優位性を明確に裏付けている。
学術プラットフォーム「J-STAGE」に掲載された複数の比較試験によると、放牧主体で育てられた牛の乳や肉には、抗酸化作用を持つβ-カロテンやビタミンE、体内の脂質代謝を促す共役リノール酸(CLA)が豊富に含まれる。最大の相違点は必須脂肪酸の比率だ。穀物飼育の畜産物ではオメガ6脂肪酸の比率が極端に高くなるのに対し、青草を食んだ家畜の脂質はオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸のバランスが「1対2」前後という理想的な数値を示す。黄味がかった自然な色合いのミルクや、赤身の旨味が凝縮した肉質は、青草の葉緑素と運動量がもたらす生理的必然の産物だ。