ネット検索を行っていると、「反社会的勢力 企業 一覧」や「反社関与企業リスト」と銘打たれたウェブサイトやSNSのまとめ投稿に出くわすことがあります。しかし、これらネット上に流布する非公式リストには、実務上極めて深刻な落とし穴が潜んでいます。
最大の盲点は、「警察や行政が公式に公表している反社会的勢力企業一覧という包括的な公開データベースは一般向けに常設公開されていない」という点です。暴排条例勧告等に伴う実名公表は、各都道府県の公安委員会ウェブサイトや公報に一定期間掲載された後、アーカイブ化されるか取り下げられます。ネット上で出回るまとめリストの多くは、過去の古いニュース記事や真偽不明の掲示板の書き込み、時にはライバル企業による悪意ある中傷を無批判に集約したものに過ぎません。
こうした非公式リストを鵜呑みにして「あの企業は反社だから取引停止だ」と独断で判断し、契約解除や社外への触れ回りに至った場合、相手方から名誉毀損や信用毀損、不当な契約破棄による損害賠償請求を起こされるリスクを背負うことになります。
実務で求められるのは、ネットの怪しい一覧表を検索することではありません。契約書に必ず「反社会的勢力排除条項(反社条項)」を盛り込み、万が一事後的に関与が判明した際にも、損害賠償を負うことなく即時無催告で解除できる法的武器を事前に確保しておくことこそが、最も堅牢な実務防衛策です。