法22条区域の根拠条文である建築基準法第22条と、それとセットで運用される建築基準法第23条は、周辺で発生した火災の火の粉による「飛び火」を防ぎ、市街地での市街地大火を食い止めることを目的としています。
まず、法22条区域の屋根制限では、屋根瓦やスレート、金属板など、不燃性の材料を用いることが定められています。伝統的な草葺きや木製シェイク(板葺き)屋根などの可燃性素材を用いることは禁止されますが、現在流通している屋根材を選定する限り、意匠上の制約を強く感じる場面はまずありません。
一方、設計実務において極めて重要なのが、法23条が規定する法22条区域外壁の防火構造です。木造建築物の場合、敷地内のすべての外壁を防火構造にする必要はなく、「延焼のおそれのある部分」に該当する壁面のみが対象となります。延焼のおそれのある部分とは、法律上以下のように厳密に定義されています。
- 1階部分:隣地境界線および道路中心線から3メートル以内の距離にある外壁・軒裏
- 2階以上の部分:隣地境界線および道路中心線から5メートル以内の距離にある外壁・軒裏
この境界ライン内にある外壁と軒裏については、加熱開始から30分間は構造耐力上支障のある変形や破壊を生じず、裏面温度を上昇させない「防火構造」の仕様が求められます。特に軒裏防火構造の基準は見落とされがちで、無垢の羽目板を張る場合は下地にケイ酸カルシウム板や強化石膏ボードを敷き込む必要があり、軒の出(庇の長さ)を深く取るモダン住宅の設計では施工ディテールと下地割りへの配慮が不可欠です。