「そもそもプロは愛車のどこを見ているのか」という疑問に対し、点検の中身を覗いてみましょう。道路運送車両法で定められた自家用乗用車の法定12ヶ月点検項目は、全26項目(主要5系統)で構成されています。
車検時の24ヶ月点検(全56項目)に比べると半分以下の項目数ですが、車の「走る・曲がる・止まる」という基本性能に関わる核心部分が凝縮されています。
- 動力伝達装置(トランスミッション等):クラッチペダルの遊び、トランスミッションの油漏れや油量状態
- ブレーキ装置(最重要):ブレーキペダルの遊び、踏み込み時の効き具合、パーキングブレーキの引きしろ、ホース・パイプの油漏れや損傷、パッドの摩耗状況
- ステアリング装置:ステアリングホイールの遊びやガタつき、ベルトの緩みや損傷
- 電気・点火装置:点火プラグの状態、点火時期、バッテリーのターミナル部の緩みや腐食
- 原動機(エンジン本体):排気ガスの状態(CO・HC濃度)、エアクリーナーエレメントの汚れ、ファンベルトの張り具合、冷却水の漏れ
- 下回り・サスペンション:ドライブシャフトブーツの亀裂や破れ、サスペンションアームの損傷やガタ
現代の自動車は電子制御化が進んでおり、特にハイブリッド車やEV、運転支援システム(ADAS)を搭載した車両では、目視だけでなく「OBD(車載式故障診断装置)」と呼ばれる端末を接続した電子診断が不可欠になっています。
こうした専門機器を用いた診断や、車体をリフトアップしてタイヤを外し、内側のブレーキパッド残量をミリ単位で測定する作業は、ドライバーが駐車場で行う日常点検では絶対に代行できません。全26項目をプロの目で一通り洗い出すことには、確固たる安全上の意義が存在しています。