日本における性取引の法的根拠となるのが、1956年に制定された「売春防止法」だ。同法第2条において、売春は「対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交行為をすること」と明確に定義されている。ここで重要なのは、「対償(金銭やその他の利益)」の存在と「不特定の相手」という要素である。
しかし、多くの人が勘違いしがちなのが「罰則」の仕組みだ。売春防止法は売春行為そのものを禁止しているものの、売春を行った本人(売春者)や、相手方である「買春」を行った人物に対する単純な取引行為そのものへの直接的な刑事罰を設けていない。同法が主に処罰対象としているのは、勧誘行為(立ちんぼ等)、斡旋(あっせん)、場所の提供、管理買春、あるいは強要といった、周辺で利益を得る悪質な第三者や組織的関与である。
一方で「買春」に関しては、相手方が18歳未満の未成年者である場合、適用される法律が一変する。売買の当事者双方に対する法的な評価やリスクは同一ではなく、購入者側が負う刑事責任の重さには極めて明確な境界線が存在しているのだ。