兼六園は、広大な土地に池や築山、御亭を配し、園路を巡りながら鑑賞する「日本庭園・廻遊式庭園」の代表格である。国の文化財保護法に基づく「国指定特別名勝」にも指定されており、その芸術的・学術的価値の高さは国際的にも広く認められている。
その名の由来となったのは、中国・宋代の詩人・李格非が著した『洛陽名園記』に記された六つの優れた景観特性だ。「宏大(広々としていること)」「幽邃(静かで奥深いこと)」「人力(人の手が加わっていること)」「蒼古(古色蒼然としていること)」「水泉(池や滝などの水景)」「眺望(素晴らしい眺め)」。これらは本来、相反する要素とされてきたが、兼六園は見事な設計によってそのすべてを兼ね備えている。
一歩足を踏み入れるごとに景色が劇的に変化する「借景」の巧みさや、自然の地形を巧みに利用した高低差の妙は、歩く者を決して飽きさせない。加賀百万石の財力と文化水準の高さを証明する空間構成は、訪れるたびに新たな発見と感動をもたらしてくれる。