兼近大樹の表現活動における最大の転換点となったのが、2026年に発表されたデビュー小説『むき出し』(文藝春秋)です。自らの半生を投影した主人公・石山が、過酷な環境から過ちを犯し、もがきながら芸人として再生していく過程を克明に描いた本作は、累計発行部数10万部を超えるヒットを記録しました。
自著を執筆した背景について、兼近は「自分の過去を美化するつもりは一切ない」「同じように底辺で苦しみ、選択肢を持てない子どもたちや、そこから抜け出そうとする人たちに届いてほしい」と語っています。あえて自身の傷口を晒すような執筆作業は、エンターテインメントとしての成功と引き換えに、自らの過去を永遠に背負い続ける宣誓でもありました。
ネット上の反応は、刊行当初から現在に至るまで大きな議論を呼んでいます。X(旧Twitter)や知恵袋、レビューサイトでは「綺麗事のないリアルな描写に圧倒された」「家庭環境に恵まれなかった若者の心理が痛いほどわかる」といった絶賛の声が多数を占める一方、過去の出来事に対する厳しい批判の声も根強く存在します。しかし兼近自身はそれらの批判から逃げることなく、生放送の場で質問を受け止め続ける姿勢を一貫して示してきました。この「逃げない態度」こそが、ネットの噂やバッシングを乗り越えて支持を集め続ける最大の要因となっています。