なぜ、隠したはずのセルがコピーに含まれてしまうのでしょうか。その原因は、Excelにおける「矩形(くけい)選択」という連続領域の基本設計にあります。
行を手動で右クリックして「非表示」にした場合、Excelの内部では行の高さが「0ポイント」に設定されただけであり、セルの番地自体は完全に連続した状態で存在しています。この状態で通常通りマウスでドラッグしたり「Ctrl + C」でコピーを実行すると、プログラムは「始点から終点までの四角い領域すべて」をクリップボードに格納します。つまり、画面に描画されていないだけで、非表示行も最初から選択範囲の中にしっかりと含まれているわけです。
ここで混乱を招くのが、「オートフィルターで絞り込んだ場合」との挙動の差異です。現在のExcelでは、オートフィルターによって非表示化された行に対して通常コピーを行うと、バックグラウンドで自動的に非表示行が除外されるケースが標準化されています。しかし、手動非表示が混在しているシートや、一部の結合セルを含むテーブル、さらには古いブック形式(.xls)が混ざった環境では、自動除外が正しく働かず非表示行がそのまま巻き込まれます。「フィルターのときは大丈夫だったから」という経験則の油断が、手動非表示を扱った瞬間に手痛いミスを誘発するのです。