『新世紀エヴァンゲリオン 劇場版 Air/まごころを、君に』の冒頭、昏睡状態にある惣流・アスカ・ラングレーの病室で繰り広げられたあまりにも有名な一幕。そこには、従来のロボットアニメやSFアニメの枠組みを根底から覆す、痛切な人間心理の暴露が存在した。
碇シンジが抱いていた感情は、単なる衝動的欲求にとどまらない。死と隣り合わせの極限状態で救いを求める依存心、そして自らの無力さに対する圧倒的な絶望が複雑に絡み合っていた。己の行いに対する激しい罪悪感と拒絶が凝縮された結果生まれたのが、あの過酷な呟きだったのだ。綺麗事を一切排除し、人間の身勝手で泥臭い本質を曝け出した演出こそ、作品のテーマ性を象徴する衝撃の真相と言える。