日本のアニメソング史に燦然と輝く金字塔でありながら、その誕生のプロセスは極めて異例だった。作詞を担当した及川眠子は、テレビ番組やインタビューなどで当時の驚くべき制作背景を包み隠さず語っている。
オファーを受けた当時、及川の手元にあったのは企画書と第2話までのラフな映像のみ。しかも及川自身はアニメに特段詳しいわけではなく、マネージャーから「適当に書いて」と依頼されたという。企画書に目を通し、ビデオテープを早送りで約30分眺めた後、机に向かってわずか約2時間で歌詞を完成させた。
「残酷」「天使」「テーゼ」という哲学的かつ宗教的なキーワードの組み合わせは、エヴァンゲリオンという難解な作品世界に見事なまでに合致した。しかし、作詞者本人は緻密な計算ではなく、与えられたキーワードの断片から直感的に言葉を紡ぎ出したと明かしている。奇跡的なインスピレーションが生み出した芸術的結実の好例といえる。