プロ野球審判員のキャリアは、加齢による動体視力や体力の低下との戦いです。NPB審判員の定年は原則として満65歳(指導員・スーパーバイザー等への移行を含む)と定められていますが、そこまで現役を続けられる審判員は一握りに過ぎません。50代前半から中盤にかけて、肉体的な限界や判定精度の低下、世代交代の方針によって契約満了(退任)を迎えるケースが多く見られます。
また、現代の審判員が直面する最大の試練がSNSやインターネット上の激しいバッシングです。1試合で150球前後のストライク・ボール判定を正確に下し、99回の完璧なアウト・セーフ判定を行っても称賛されることはほぼありません。しかし、たった1回の微妙な判定やミスがX(旧Twitter)などで切り抜かれ、実名とともにトレンド入りして誹謗中傷に晒される構造が存在します。
元審判員の手記や関係者の証言によると、球場からの退館時に警備が強化されたり、審判控室で精神的な疲弊を吐露する若手も少なくありません。判定に対する批判を真摯に受け止めつつも、理不尽な個人攻撃からメンタルを保護するため、NPB審判部では定期的なメンタルトレーニングや臨床心理士によるサポート体制の整備を進めています。