爪は硬い骨の一部のように思われがちですが、実際には皮膚の角質が変化したケラチン(硬質タンパク質)で構成されています。その構造は1枚の板ではなく、上から「背爪(トップ)」「中爪(ミドル)」「腹爪(アンダー)」という3層構造がミルフィーユ状に重なり、層の間に適度な水分(通常12〜15%)と油分を保持することで柔軟性と強度を保っています。
二枚爪が発生する最大の物理的要因は、一般的な爪切りによる切断時の圧力です。パチンと刃を挟み込んで押し切る瞬間、平らではないカーブを描く爪に対して強い「剪断(せんだん)応力」が加わります。この衝撃によって、乾燥して結合が弱まった3つの層が物理的に引き剥がされ、爪の先端がペラペラとめくれる二枚爪が誘発されるのです。
さらに、除光液に含まれるアセトンによる脱脂や、毎日の水仕事、アルコール消毒の日常化が爪の水分・油分を極限まで奪います。乾燥してしなやかさを失った爪に、爪切りの強い圧力が加わることで、構造破壊が決定的なものになります。二枚爪を本気で治すための第一歩は、長年使い慣れた爪切りを置き、目の細かいネイルファイル(エメリーボード)によるケアへシフトすることです。