エンゼルケアとは、患者が息を引き取った直後に行う一連の身体的ケアと整容全般を指します。終末期ケア(ターミナルケア)の最終段階に位置づけられ、生前の苦痛から解放された故人の姿を安らかに整えることが主目的です。
かつて医療現場で使われていた「死後処置(死後の清拭・脱脂綿詰めなど)」という言葉と混同されがちですが、現代の看護学においては明確な違いがあります。
「死後処置」が医療機器の抜去や体液漏出防止など、医療的・衛生管理的な観点を重視していたのに対し、「エンゼルケア」は「故人の尊厳の維持」と「遺族のグリーフケア」を中核に据えています。生前のその人らしい表情や髪型、服装を再現し、遺族が最期の対面を受け入れられるよう寄り添う全人的なケアとして確立されています。