父は三代目市川猿之助、母は宝塚歌劇団元トップ娘役の浜木綿子。サラブレッドとしての宿命を背負いながらも、幼少期の香川照之が歩んだのは歌舞伎の道ではなく、徹底した学業の道だった。幼小中高を一貫して過ごした暁星学園では、フランス語教育を中心とした厳格なカトリック精神のもとで知性を磨いた。
同級生たちの証言によれば、当時の彼は学年でもトップクラスの成績を誇り、卓越した語学力と論理的思考力を発揮していたという。一目置かれる秀才でありながら、内面には芸能一家に生まれながら伝統芸能の世界から離れて育ったことへの複雑な葛藤を抱えていた。その鬱屈としたエネルギーが、受験勉強への猛烈な執着へと向かったとも言われている。