服地の良し悪しは、単に価格の高さやブランド名だけで測れるものではない。目まぐるしく変化するアパレル業界で長年針を握り続けてきたプロの仕立て職人は、「手ざわり(風合い)」と「生地の復元力」を最も重視するという。指先で生地をつまみ、軽く揉んだ後に手を開いた際、素早くシワが伸びる生地は上質なウールや高品質な天然繊維の証だ。
オーダーメイドでスーツやコートを仕立てる際、生地の目付け(1メートルあたりの重量)を確認することも欠かせない。重厚感のある目付けの高い布地は、長年の着用やクリーニングにも耐えうる耐久性を持ち、経年変化を楽しむことができる。光沢だけに惑わされず、糸の打ち込み本数や織りの密度を確かめることこそが、失敗しない生地選びの鉄則だ。