開会式で大会の幕開けを告げる選手宣誓もまた、時代を象徴する言葉として人々の心を強く揺さぶってきました。特に忘れられないのが、2011年春(第83回大会)の創志学園・野山慎介主将による選手宣誓です。東日本大震災の発生直後、開催すら危ぶまれた大会で、野山主将は力強い声でこう誓いました。
「私たちは16年前、阪神・淡路大震災の年に生まれました。今、東日本大震災で多くの尊い命が奪われ、私たちの心は悲しみでいっぱいです。人は仲間に支えられることで、大きな苦難を乗り越えることができると信じています。生かされている命に感謝し、全力でプレーします」
さらに翌2012年春(第84回大会)では、被災地・宮城県から21世紀枠で出場した石巻工の阿部翔人主将が宣誓台に立ちました。「人は誰でも答えのない悲しみを受け入れることは苦しくて辛いことです。しかし、日本が一つになり、その苦難を乗り越えることができれば、その先には必ず大きな幸せが待っていると信じています」と語った言葉は、被災地のみならず日本全国の人々に勇気と希望を灯しました。極限の状況下で紡ぎ出されたこれらの言葉には、白球を通じた友情と青春の経緯、そして困難に立ち向かう人間の気高さが込められています。