ヒット商品の潮流が変わった。今年市場を賑わせているのは、ワンタッチで完結する全自動家電だけではない。ユーザー自身の微調整や熟練を求める「手応えを残した道具」が異例のヒットを記録している。たとえば、抽出温度と豆の粒度をミリ単位で手動調整するエスプレッソマシンや、コードを書かずに物理パラメーターの相互作用を楽しむアナログシンセサイザーだ。
ボタン一つで満点が得られるプロダクトは、買った瞬間に感動のピークが過ぎる。「使い手が工夫する余白」が残されている道具ほど、熱狂的なコミュニティが形成されるのだ。利便性を超えた先にある「使いこなす面白さ」こそが、現在のプロダクトデザインにおける最大の勝負処となっている。