物語の主軸となる「爆音小僧」とその周辺キャラクターのマシンは、1990年代当時のバイクブームの空気を最も色濃く反映しています。単なる暴走族の改造車にとどまらず、走り屋や街道レーサーの文脈を取り入れたリアルな仕様が特徴です。
浅川拓の愛車:カワサキ・ZEPHYR400(ルビーレッドの魂)
気弱な高校生だった浅川拓が手に入れた愛車は、横浜外道の鳴神秀人の亡き兄・鳴神アキオの遺品であるカワサキ・ゼファー400でした。当時、レーサーレプリカブームを終わらせてネイキッドブームを巻き起こした名車であり、深みのあるルビーレッドの燃料タンクがトレードマークです。
拓のゼファーは、ヨシムラ製集合マフラーによる甲高い直管サウンド、BEET製アルフィンカバーおよびポイントカバー、ツッパリテールなど、1990年代初頭のストリートカスタムが凝縮されています。当初は単なる初心者の足だったマシンが、幾多の修羅場をくぐり抜ける中で「拓の意志に呼応する相棒」へと変貌していく過程は読者の胸を熱くさせました。
鮎川真里(マー坊)の愛車:ホンダ・CB400FOUR(ヨンフォアの誇り)
爆音小僧七代目頭・鮎川真里(マー坊)が駆るCB400FOUR(通称ヨンフォア)は、1970年代の伝説的名車です。作中でマー坊が乗るモデルは、中型限定免許制度に合わせて登場した希少な398cc仕様(フロントステップ位置などで408ccと区別可能)というマニア垂涎のセレクトがなされています。
手曲げのヨシムラショート管による乾いたエキゾーストノートと、小柄なマー坊がアップハンドルと風防を構えて大排気量車を追い詰める姿は、作中屈指のカリスマ性を放ちました。
鳴神秀人の愛車:カワサキ・Z400FX(外道が誇る漆黒のフェックス)
拓の親友であり横浜外道特別攻撃隊の鳴神秀人が乗るカワサキ・Z400FX(通称フェックス)は、直線基調のエッジが効いた角タンクが特徴の硬派な1台です。秀人のFXは、極限まで絞り込まれたハンドルバーにモリワキ管を装着し、アイドリング時に「ドロドロドロ…」と響く野太い重低音が強烈な威圧感を放っていました。