勝新太郎という男の存在感は、日本のスクリーンにおいて空前絶後だった。端整な白塗りの歌舞伎役者崩れとしてスタートしながら、泥臭く脂ぎった肉体を晒すことで独自のポジションを確立した異端児。カメラの前に立つだけで劇場の空気が張り詰め、観客の視線を釘付けにした。
彼の芝居には台本通りの段取りなど存在しなかった。テストはそこそこに、本番で予期せぬアドリブを叩き込む。相手役が本気で狼狽し、目を見開く瞬間こそが映画の真実だと信じていたからだ。映画館の暗闇で観客が目撃したのは、演じられた虚構ではなく、生身の人間が放つ剥き出しのパトスだった。