迂回ルートを進んだ先に現れるのが、渓谷の崖上に佇む「等々力不動尊」だ。ここは平安時代、真言宗の開祖である弘法大師空海が夢告を受け、目黒不動尊と並ぶ霊場として拓いたと伝えられる古刹である。さらに時代を下り、中興の祖として知られる興教大師覚鑁もこの地で深く修行を積んだと伝わる。
境内に入ると、静寂の中で滝の音が心地よく響き渡る。本堂でお参りを済ませ、舞台造りの展望台へと足を運んでほしい。春には桜、秋には鮮やかな紅葉が谷を埋め尽くし、眼下に広がる緑の絨毯は息をのむ美しさだ。激しい都市化を免れたこの聖域には、千年以上変わらない澄んだ気が満ちている。