心理学におけるエンカウンターの歴史は、アメリカの臨床心理学者カール・ロジャーズ(Carl Rogers)が1960年代に提唱した「エンカウンターグループ」から幕を開けました。これは決まったプログラムや指示役を置かず、集まった参加者が「今、ここ」で感じている感情を率直にぶつけ合うアプローチです。これを心理学では「非構成的(ベーシック)エンカウンター」と呼びます。
しかし、自由度が高すぎる非構成的グループは、感情が激しく衝突し、精神的に傷つく参加者が現れるリスクを孕んでいました。そこで、この手法を日本の教育現場や集団指導に適した形へと昇華させたのが、筑波大学名誉教授などを歴任した心理学者・國分康孝(こくぶ・やすたか)氏です。
國分氏が体系化したのが構成的グループエンカウンター(Structured Group Encounter: SGE)です。リーダー(教師やファシリテーター)が明確なプログラムと安全なルールを設定し、ゲーム感覚のワークシートなどを用いて段階的に交流を深める手法です。現在、文部科学省が推奨する「豊かな人間関係づくり」や学級経営の土台として、全国の小学校・中学校・高校に広く普及しています。